何故惹かれるか惹かれないか理由は分からない。分かるのは惹かれるか惹かれないかだ。

公開初日に映画館へ足を運んで『キャロル』を観に行った。ネタバレを大いに含むので今後ネタバレなしで映画を楽しみたい方は気をつけて戴きたい。


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STORY:
1952年、クリスマス間近のニューヨークの高級百貨店のおもちゃ売場でアルバイトをするテレーズ・ベリベット(ルーニー・マーラ)は写真家を夢見る19歳。ある日上品で美しく魅力的な女性に目を奪われる。彼女の名は、キャロル・エアード(ケイト・ブランシェット)、4歳の娘リンディへのクリスマスプレゼントを探しに来たのだ。プレゼントを一緒に選びイブまでに届くように手配したテレーズは、にこやかに立ち去ったキャロルが忘れていった手袋も自らの手で彼女の自宅へと郵送した。すると、後日百貨店にキャロルから電話がかかってくる。御礼にランチに誘われたテレーズは、翌日キャロルに指定されたレストランへ向かう。互いに急ぐように自己紹介し合う2人。愛のない結婚生活に終始を打つことをキャロルは打ち明ける。そんなキャロルに「あなたは天から落ちたよう」とじっと見つめられたテレーズは、頬を染めるのだった。その週末、郊外のニュージャージーにあるキャロルの屋敷に招待され楽しい時間を過ごしていると、突然別居中の夫ハージ(カイル・チャンドラー)が現れる。クリスマスイブにリンディを迎えに来る約束が、日程を早めてきたのだ。妻への未練を隠さないハージは無理矢理キャロルを連れて行こうとするが離婚の意思に変わりはないキャロルは頑なに拒絶する。娘を連れ去られ怒りと悲しみのあまりついテレーズに八つ当たりをしてしまうキャロル。険悪な雰囲気のまま別れ泣きながらアパートに戻ったテレーズを迎えたのはキャロルからの電話だった。「許してくれる?」と声を詰まらせ「会いに行ってもいい?」と囁くキャロルを拒む理由はなかった。翌日、弁護士に、呼び出されるキャロル。何とか離婚を阻止したいハージはリンディの親権を共同から単独へと変更する申し立てを起こす。キャロルと親友のアビー(サラ・ポールソン)との友情を超えた親密さや、テレーズとの関係を理由に母親としての適性に欠けると攻撃してきたのだ。それはハージの元に戻らなければ二度とリンディには合わせないという宣戦布告だった。キャロルは裁判所から審問まで当分の間、娘と会うことを禁止されてしまう。その夜、クリスマスプレゼントの高価なカメラを手にテレーズのアパートを訪れたキャロルは審問が始まるまで、思いつくまま西へと向かう旅に出ると語る。「よければ、あなたも一緒に」と誘われ、「ぜひ」と微笑むテレーズ。そうして惹かれ合う2人は旅に出るのだが…

終始一貫して言葉ではなく眼差しで思いを伝え続ける2人。初めてキャロルを見たテレーズの眼差しは一目惚れをした少女のようだった。それからキャロルを見つめるテレーズの眼差しで「あぁ、好きなんだな」というのが伝わる。キャロルもキャロルで大人の余裕を見せつつもテレーズを見つめる眼差しに愛が宿っていた。50年代は同性愛は治療すべき病で大いな偏見の目があったという背景もあり、決して好きだとは口にしない2人。しかし、キャロルを被写体としてカメラのレンズで納め続けるテレーズ、弁護士に残酷な事実を打ち明けられ狼狽しながら街を彷徨う中、テレーズが好きなカメラを見つめるキャロル、新年に初めてキスをし身体を重ねても好きだとは決して口に出さなかった2人。口に出さなくても眼差しや行動で愛してると伝える2人の愛は確固たるものであった。しかし、ハージの雇ったスパイにより新年の情事を盗撮されてしまった2人に別れが訪れてしまう、寝てるテレーズを起こさずキャロルは呼び寄せたアビーにテレーズ宛の手紙を託し姿を消したのだ。恋する少女の眼差しは消え塞ぎ込んでしまうテレーズは「偶然なんてない。遅かれ早かれこうなったでしょう。あなたは若いから解決や説明を求めるでしょう。でも、いつか分かる時が来る。その時、私はあなたを心から迎え入れる。会えないし連絡もできない。あなたは私を憎み傷ついていると思う。けれど私が今あなたにしてあげられる唯一のことはあなたを手放すこと。」といったラブレターを読み、現実に戻る。何度も家の電話の受話器に手をかけるが連絡をすることができない。意を決して連絡をするもののキャロルは口を開けず震える手で電話を切る、「会いたい」と感情に蓋をし続け生きてきたテレーズの初めての感情の吐露は悲しくもキャロルには届かない。その後テレーズは前を向いて生きることを始める。最初2人で食事をしたレストランで自分のメニューも決められず、自分の人生を振り返っても本当の感情を知らない故にただYESとしか言い続けなかった彼女は自分の感情と向き合い初めて行動をし念願の写真家としてタイムズで働くようになる。一方キャロルは、リンディの為に精神科に通い同性愛の治療を受け歩き出していた、アビーにテレーズの近況を聞き「待っててと言えば良かった」という後悔の言葉を素直に口にするほど追い込まれながら。


運命的な出会いを果たし、2人で過ごす楽しい時間、そして突然にやってくる終末。傷つきもがきながらキャロルがいない現実を受け入れ旅の道中で納めたキャロルの写真を見つめるテレーズの眼差し、長い時が経ちある日タクシーで街を走っていると偶々テレーズを見かけその様を窓越しで見つめるキャロルの眼差し。そしてやってくるラスト…

あまり何度も同じ映画を見たいと思わない僕だがこれを記すまで2回も観てしまった。
その後原作を買って読んでしまうくらいに『キャロル』にハマっていて、上手にこの映画を語ることができないくらいに心奪われています。

「自分の感情に蓋をしている」「自分がわからない」そんな2人が出会いと別れを経験し最終的に自分という存在に気づき自分の感情に正直に歩き出していく様がとても素敵だった。自分の人生を編集する、自分の足で立ち歩くということは相当なエネルギーが必要なこと、それをし始めた2人は凄い、しかし自分の人生を編集するキッカケを与えてくれた人との出会うということも同じくらい凄いことである。そういう出会いを運命だと、この映画は観る我々に教えてくれる。それらを踏まえると僕も運命の人と出会っている、あいにく僕はこの2人のようなラストはまだ迎えたことがないけれど。(笑)

「もし、あなたがこなくても私はあなたを"理解"するわ」差し出した最後の手紙、「愛してる」と眼差しではなく遂に言葉で告げた思い。全ての言葉や眼差しが僕の中でリフレインする。