古き本開けば

家庭の事情で東京と愛媛を往復する回数がここ最近増えた。何もない田舎、街灯も少なく得体の知れない何かの鳴き声が川辺で反響する夜星が綺麗に見えるのが唯一の楽しみである。そんな滞在生活中、祖父母宅の書斎に私が高校時代に買ったであろう本が1冊あったので手に取った。後半のページから出てきたイギリス留学中に買ったポストカードと、折りたたまれた色褪せたプリント、事前調査、平成22年5月と日付が記されてる、薄っすらと見える黒インクで書かれた文字。身に覚えがなく開いてみる。

 

 

"愛してる。これで満足?"

 

小さな字、だが達筆な字で記された手紙。初恋の人からの手紙だった。どういう経緯で貰ったかは忘れたけど当時を少し思い出してしまった、プラトニックで親密な関係を築いた17歳の夏を思い出す。当時から常に強気で芯がしっかりしてる先輩で風の噂では自分の夢を叶えるべく異国の地で1人闘ってるそうだ。彼女と過ごした短い時間のお陰で今自分が執筆してる論文が存在してるし、進路も途中ぶれたけど振り出しに戻ってもう一度自分がやりたいことをやれる環境を手に入れることができた。確かに存在してた時間と経験のお陰で私は確実に成長できたであろう。あの頃に比べたら今はほんの少しは素直になれるようになったよ、身長6cm伸びたよ、しんどいこともあるけど確かに生きてるよ。

 

私は小さな手紙をゴミ箱に捨てた

「いつかもう一度君と出会いたいな、他人で。 」そんなことを思いながら、7年という歳月を経て吹っ切れた私が顔を出したのだろう。f:id:iamjin:20161203120650j:image

そろそろまた1年が終わる。