立ち尽くすむ

「ただ分かってることは寂しいんだと思う」そうカフェのあまりにも高すぎる天井を見つめ呟いた僕24歳。向かいに座った年上の女は鼻で笑う。「認めたくないよ、認めたくないけど寂しい」とは言えなかった。

 

 

黙り込んだ僕に何か女は言った、だけど覚えていない。群れをなした女子中高生がウキウキしながら駅へ向かう、仕事帰りのサラリーマンがスマートフォンを弄りながら足早に駅へ向かう外の様子を"お前"は見ていたから。

 

 

焼鳥屋で女の話を聞く、それは覚えている。「好きでも嫌いでもない」という女の話を聞く、話を聞いてるのは僕か誰か。気まずさから喋り捲る、本当の"お前"を封印すべく。

 

情緒不安定だと女に頭を叩かれる、ただ痛みだけは"お前"に付き纏う。閉店間際酔っ払った女を家まで送り届けるミッションを遂行すべく連行する、素知らぬ顔でロサ会館前でキスをする、鼻で笑う女、"お前"は女の手を引っ張る

 

タクシーで女を家に送り届け玄関でキスをする、他人事のように笑う女、"お前"は何も感じない

 

いつもの場所でタクシーを拾い3800円を払い歩き出し猫背でコンビニで買ったアメスピの煙に巻かれる"お前"

 

漸く辿り着いた我が家で

シャワーに打たれ咽び泣く"お前" 

 

希望が見えないと無様に泣く"お前"

 

「何もない空っぽだ」と泣く"お前"

 

「自己演出だけは上手くなりやがって」とシャワーを切る"お前"

 

"僕"と"お前" どれが本当の顔だろう