ゼロになって、ちゃんともがく

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目を覚ますと午前5時、シングルベッドの横で寝息を立てる家主、顔を両手でぴったり覆っていなければ眠れない家主の癖に気づいた早朝。

以前来た時に家主に「タバコを吸うならベランダで吸え」と言われたことを思い出し、アンダーウェア1枚の姿で慣れた手つきで窓を開け都会のビル群に囲まれた東京の朝焼けを眺めながらIQOSで一服。昨夜のテキーラがほんの少し存在を主張する身体に、ほんの少しだけ残る眠気。ぼんやりと怒涛の自分の1ヶ月を振り返っても笑けてくるだけで思い出すのはすぐにやめて、ベッドに再度潜り込む。

物音で目覚めた家主に「お前、体温高えな」と言われ胸骨丙をノックされる。「痩せっぽっちだな」そう家主は続けて言うだろうなと思いながら「子供の頃から眠いとさ、体温高いんだよ」そう家主に答えると「痩せっぽっちだな」と家主は予測通りの言葉を呟き、浮き出た肋骨に触れる。

「不思議な関係性」そんな言葉が脳裏をよぎる。家主と私の関係性を表す言葉ならあまりにも多すぎる。けど、家主と私は肉体的には繋がらない。その欲求が私にはない。家主にドキドキするような熱い想いは湧き上がらない。家主もそのような欲望や想いはないであろう。だから、いつから私が考えている"名前のない関係性"に適任なのは、家主なんだろうなぁとそんなことを考えながら家主のTシャツに顔を埋める。「お前いつも甘えてくるな」と呟き、眠気ナマコで呆れた顔をしてるであろう家主に「ワン」と答えたら、頭を叩かれた。鈍い痛みと丁度良い眠気と安心感で瞼を閉じると、眠りに落ちる瞬間に家主に抱きしめられた気がした。