歪み歪み

 

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「かねてより」という言葉は芸能人の結婚報告のコメントくらいでしか聞いたことがないよね
と、この状況で思えるくらいにはどこか余裕があるみたいだ。かねてより私は交際相手を触れない、触られたくない。「なんで?」と責められたくなくて先回りして逃げる。その後何か察した相手は去っていく、これで4度目になるのは目に見えている。
いつの間にか交際相手に対して"好きだと思うけど"という推量で相手と向き合うことしかできないのがクセになってしまったようだ。
だって、「愛してる」という言葉を消化できないんだもん。 という言葉を吐く代わりに寝たふりをする。このクセのお陰で寝たフリだけは上手くなった。寝たフリをしている横でがさごそという音を立てて誰かの腕が絡みつく、"寝たフリをしているから"払いのける。「ごめんね」そう思いながら瞼を閉じ続ける。手に入れば封を開けずそのまま紙袋を置きっ放しにするお買い物中毒の人のようだと思いながら瞼を閉じ続ける。瞼を閉じ続ければ朝はやって来る、愛に瞼を閉じれば終わりもやがてやって来るだろう。

 

寝てる横で「浮気しても分かるから、あなたは嘘をつけない人だから。浮気しないでね」という言葉を投げつけられ、私は咀嚼できない相手の思いを枕に吐き散らかす。「お前そういってるけど、俺お前の友だちと2ヶ月前から寝てるぞ」と言ったらお前はどんな顔をするのだろう。「お前の目は節穴だな」そういう言葉と共にお前の顔に唾を吐きつけたらどんな顔をするのだろう。"やかましい、めんどくさい"と思い「そんなことしないから安心して」とお得意の目がなくなるくらいの全力の笑顔を作って答えてみせる気力もない私は寝たフリを続ける。このクセを発症した私は別れ話切り出すのもめんどくさいから相手から別れ話を切り出すのを待っている。翌朝、別れ話を切り出され、青天の霹靂みたいな顔をして私は相手に縋り付いた、別れを受け入れられなくて、"愛してる"と言って。

 

その矛盾は、相手に愛情があるからじゃなくて、生活のリズムが狂うから。

どこまでも自分本位、自分勝手だよと開き直りたい気持ちを堪え縋り付く。

 

そして、やってくる現実=別れ

 

生活のリズムが狂うことに漸く慣れた頃、

1人にやっと落ち着く、だって元々好きでもない相手に勝手に好きになられて告白されて付き合うという無駄なことをして手を回してぶち壊すのが好きなの、子供がお人形の髪を切ったり足をもいだりするようにぶち壊すのが好きなの。「結局お前には元々興味なんかなかったんだよ、バーカ」そう、ほくそ笑んで次もまた、これが私の最大のお遊び、最大のストレスの解消。

 

 

歪み歪み、ゆがみひずみ

 


#即興 #小説