DEFECTOR.

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社会人2年目間近に私は脱落した。
会社に行けなくなってしまったのだ。

絞り出すように「辞めます。」とボスに言ったのは

通算3回

「体調崩してるからナーバスになっているだけだよ」と言わんばかりの制止で今。
元上司から「風の噂で聞いたけど…」と生存確認が来るのもしんどい、めっちゃくっちゃ。

そもそも、会社員になって"風の噂"というワードを沢山聞くようになった。「私はいいと思うけど、周りの人はどう思うかな?」と言ったご指摘に添えて。

 


不満ばかり溢れたひき肉みたいな環境を享受し続け、朝目覚めた瞬間に退勤ばかりを切望して、やりがいなどは全くなくただただ淡々と生かされているだけの毎日に私は私をより嫌いになることが加速するようになった。

「次辞めてどうするの?」そう聞かれるけど、次を考える余裕さえもないのが現状。
もう何も考えられない、何もしたくないそんな生活で心がポキっときてしまった。大好きな読書ができない大好きな音楽も聴けなくなった、身なりに気を使わなくなってしまった。

「頑張れ」と背中を押し続けてくれた人々はもう私に「頑張れ」とは言わなくなった。

もう潮時なんだろう。

そんな中、昨夜一編の詩をふと思い出した。
詩人、中原中也の詩の中で1番好きな詩が最晩年の詩である。       

『おまへはもう静かな部屋に帰るがよい。
 煥発する都会の夜々の燈火を後に、
 おまへはもう、郊外の道を辿るがよい。
そして心の呟きを、ゆつくりと聴くがよい。』

 

うつ状態から脱したく、もう一度ほんの少し自分を好きになりたくて最後の選択肢に手を出した、思い立ってから行動に移す速さは20幾ばく生きてきた中で最速である。


言い訳ばかりで全く行動に移さなかった私がアクションを起こしたことがこれから自分の心をどう導くか現状をどう捉えて行くかはまだ分からない。でもひとつわかっていることは後悔はしていないということだ。

 

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"2018年になってしまった"なのか
"2018年がやってきた"なのか。
カウントダウンをクラッカーの音と周りの歓喜の声で迎えたが、相変わらず日付感覚が曖昧なまま1人取り残されたかのような気持ちで歓喜のムードに酔いしれていた。

2017年は社会人デビューイヤーだった。
新しい場所、人、経験といったものを日々を積み重ねていたと思う。数ヶ月前より背広を着てよりもがきあがいてを繰り返す日々で、ほんの少し体力の低下に悩み、自分の今後に漠然とした不安を抱くようになった。
私生活面に於いてもそんなんだから自分の世話をすることがただでさえ上手じゃないのに蔑ろにしすぎて、寝込むことも多々。

「あんないい人手放すって見る目がないね。」と周りには言われた2017年下半期初っ端だったが「いい人だったけど、それよりもいい人と出会ってしまったことが私の運の尽きだ」と笑い飛ばした日々。

そんな自分の2017年に彩りを与えてくれたのは紛れもなく愛想のない奴だった、落ち込んでいればケツを叩いてくれ、一緒に浴びる程の酒を飲んでくれて、面倒見のいい奴だ。
恋愛感情という次元を超え、ある意味尊い存在にまで昇華してしまった愛想のない"あいつ"。
「好き」と言おうもんなら「お前があたしのこと好きじゃなかったらずっと仲良くやっていけるのに」といつも言ってくるあいつ。「彼女?」と周りに聞かれ、「いや、付き合ってません」2人でそんなやりとり何度したか数え切れない程。


「彼女じゃないんだから他見ればいいじゃん」「あの人と付き合ってないなら、私との関係を考えて見る気ない?」そんな言葉たちを排除してしまったのは確固たるナニカがあったからだと思う。
"夏までにしておこう…" "秋までにしておこう…" "年内までにしておこう…"そんな気持ちは都度都度で湧き上がったが気がつけば2018年到来。


2018年の始まりに酔いしれてる中、いつものようにグラスを傾け乾杯。「今年もよろしくお願い致します」という私の言葉に対して、同期からなんて言葉が返ってきたのか覚えてないのはほろ酔いだったからか、周りの喧騒に飲まれてだろうか。

憎たらしさに呆れ

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「仕事行きたくない」
突然俺の上に乗った女は困った顔で駄々をこねる子どものようなことを言い始めた。これがお互い裸であったら官能的なワンシーン間違いなしだが、残念ながら違う。お互い着衣のままである。年季が入っているからか沈みがちなベッドに横たわったままの身体に力を入れ上半身を起こした俺は上に乗る女を少しズラして胡座の上に女を鎮座させ抱き寄せた。「どうした?」と寝起きで微かに開いた目で伏し目がちな女の顔を覗き込む。"大丈夫?"とは言わない、見ていれば"大丈夫"ではないのは分かるから。いつも冷静な女のことだから"大丈夫"とはぐらかして「そいや、北朝鮮のミサイル問題どうなるんだろうね?会社に落ちてくれないかな」と話題転換をするとわかっていたから。何も言わないで愚図って泣きそうな顔をしたこの女がとても愛おしく感じて「大丈夫だよ」と形勢逆転させる。いつも御主人様の後ろをタッタと歩く犬ようにこの女に尻尾をバッサバッサ振っているから、この瞬間だけは俺の勝ち。そう思ったのは次の日だった。

駆け抜ける

 

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あなたが好きなあなたに似たキャラクターのマグカップをたまたま出先で見つけ包装して貰ったあと、駆け込んだ雑貨屋で小さな封筒とカードを買って"今年の夏は楽しかった"と記したら鼻で笑ったあなた

憎まれ口叩きながらもマグカップを使ってくれているあなた

換気扇の下で燻らすわたしのタバコ

あまりにも殺風景な冷蔵庫に冷えた缶ビールたちと豆板醤

都会の片隅でわたしたちは体育座りをしながら缶ビールを覗き込んで世界を見つめても

共に過ごす時、その時だけは、わたしの漠然とした将来への不安を遥か彼方に連れて行くとはあなたには決して言わない

 

「ずっとこのままがいい」と呟いたコドモのあなたといつも冷静なオトナのあなた

 

 

 


あと、4分で起きなければ遅刻だと分かっていながら横で寝息を立てるあなたの背中を抱きしめ「このまま時が止まればいい」と密かに思い立ち上がる
眠気ナマコで立ち上がり施錠する為にわたしを見送るあなたの唇を塞ぎ、"行ってきます"と呟き背を向けながらいつものように左手をヒラヒラさせドアを開け放ち、階段を駆け下りる最中鍵が締まる音が反響する都会の一棟

何気ない日々の積み重ねでわたしたちは生かされていると思い知り駅の改札を通り抜けた

ゼロになって、ちゃんともがく

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目を覚ますと午前5時、シングルベッドの横で寝息を立てる家主、顔を両手でぴったり覆っていなければ眠れない家主の癖に気づいた早朝。

以前来た時に家主に「タバコを吸うならベランダで吸え」と言われたことを思い出し、アンダーウェア1枚の姿で慣れた手つきで窓を開け都会のビル群に囲まれた東京の朝焼けを眺めながらIQOSで一服。昨夜のテキーラがほんの少し存在を主張する身体に、ほんの少しだけ残る眠気。ぼんやりと怒涛の自分の1ヶ月を振り返っても笑けてくるだけで思い出すのはすぐにやめて、ベッドに再度潜り込む。

物音で目覚めた家主に「お前、体温高えな」と言われ胸骨丙をノックされる。「痩せっぽっちだな」そう家主は続けて言うだろうなと思いながら「子供の頃から眠いとさ、体温高いんだよ」そう家主に答えると「痩せっぽっちだな」と家主は予測通りの言葉を呟き、浮き出た肋骨に触れる。

「不思議な関係性」そんな言葉が脳裏をよぎる。家主と私の関係性を表す言葉ならあまりにも多すぎる。けど、家主と私は肉体的には繋がらない。その欲求が私にはない。家主にドキドキするような熱い想いは湧き上がらない。家主もそのような欲望や想いはないであろう。だから、いつから私が考えている"名前のない関係性"に適任なのは、家主なんだろうなぁとそんなことを考えながら家主のTシャツに顔を埋める。「お前いつも甘えてくるな」と呟き、眠気ナマコで呆れた顔をしてるであろう家主に「ワン」と答えたら、頭を叩かれた。鈍い痛みと丁度良い眠気と安心感で瞼を閉じると、眠りに落ちる瞬間に家主に抱きしめられた気がした。

no title。

「もう無理だよ」何年振りかの何度目かの言葉。

 

 

その度に受け止め方は違う、憎しみあった10年前。「元気でな」と握手をして別れたサザンテラスは7年前。「ありがとう」とちょっと泣いた田端駅は4年前。

 

 

大小は関係なくとも悲しみは抱えることには変わりない。しかしながら受け止め方は変わってきた。階段を登っているのか降りているのか分からない日々の中で「好き」だと言う人、誰かへの強い想いを相談する人、目の前にある生ビール。様々な人たちの、モノたちの中でそう確かにわたしは生きていた、どれが本当?どれが嘘?そんなことはどうでもいい、ただどうなるのかはわからない日常を揺蕩うかの如くわたしは生きている、心で泣いて喚いても。

「人間が本当に覚えていられるものは苦痛の記憶だけかもしれない」

その言葉を否定する生き方を、いまのわたしならば、選択したい。

 

トーキョーと生きる

マリブコーク、テキーラ、総選挙
浮き出てる胸骨丙に感じる感触
今夜は誰だろう
タバコの煙で泣き出した女

鳴り止まないメッセージ
遠巻きで見ている誰か
TVでじっと見るフランス映画
都会の喧騒、これがわたしたちの日常です
何もわからないまま走りだす夜景&夜警
頭の片隅にいる女に中指を立てられたような気がした

 

#散文詩