「あんたは他人に寄り添い優しさを与えることではなく、自分の感情を受け入れなよ」
確かに、あの都会の片隅で目の前の友人は私にハッキリと伝えた。
痛い所を突かれたなと思いつつも
『元気だから』と即座に否定をした。
「自分を受け入れたら精神崩壊するかもしれない。立ち直れないかもしれない、最悪の場合…」
友人は私の戯けを無視して間髪入れずに話を続ける。
『潔く死にそうと言われるし、自分でもそう思う』と目の前で向き合ってくれる友人に言う気力は湧かなかった。
『誰かを楽しませたり、いっしょに笑ってあげることはできる。そう過ごしてきたし、これからもそうしてあげたい。けど自分が笑ってるのは顔だけで、心は。』
友人は何も言わず、続けてという表情をしていた
『正直に言うよ、恐れてる、自分と向き合うことを。後悔してしまうかもしれない、立ち直れないかもしれないし、耐え難いほどの傷が私を引き裂いて最悪な結果を選んでしまうかもしれない。だからもう何年も見ないように気づかないように蓋をして過ごしてきた。
楽しんでるフリも、いい人のふりも上手くなったと思う。そっちの方が楽だと言いつつも、嘘ばっかりついて、心が張り裂けそうな程苦しいのにね。
でも、後悔しながら、傷つきながら、汚れながら、それでも誰かを笑顔にできるように、いつか自分自身心から笑えるように、自分を許したい、いつになるかわからないけど。本当はとてもつらいよ、無様だよな』
独白を終えて、友人がなんていう顔をしていたか、なんて答えてくれたかはもうあやふやとなっている。
ただ、本当の私を分かっている友人が存在していることがどれだけありがたいことかは、今なら分かる。