師が走る

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「気になる…」と思ってたお店が

気がついたら違うお店になっていることはよくある。

 


午後の予定がなくなったし、錆び付いた脳味噌の為にも寿司でも食べようと思い、デパートのレストラン街に足を伸ばしたが想像よりレストラン街は賑わっていた。限界値まで上昇した疲労感に負けかけていたし、ここで流行性感冒を貰って自宅謹慎を喰らうわけには行かないとわたしの本能ですぐに引き返した、寿司屋の前に到達する前に。

 

 

 

帰りの車内は空いていて快適だった。

代替をどうしようかと思いながら読書に勤しむ。「油そばでも食べようか、ニンニク増し増しでいいかな。」

食事のメニューで悩んだことが殆どないわたしらしく降りてきた答えで気持ちを油そばにシフトして意気揚々と最寄駅の階段を下る。

油そば屋まで進むと、"準備中"という立看板を前に立ち竦む。

「わたしらしいな」と一人笑ってしまった。

 


さて、どうしようか?

家の冷蔵庫の食材を思い返してみたが

包丁を握る体力ももうないから

外で済ませるのが賢明だった。

蕎麦屋に足を運ぶか、いや中途半端な時間だからやってないかもしれぬ…そう思いながら、入り組んだ住宅街に入り込む。

少し歩くとイタリアの旗が風に翻る一軒のパスタ屋さんを発見した。

洋食屋の前のランチメニューに目を通す

前に行きたかった定食屋さんが気がつけばなくなっていてパスタ屋さんになっていたのは知っていた。前々から気になっていた。

こういう時じゃないと行かないし、パスタなんて殆ど食べないからまっいっか。 

こういう時の気持ちの切り替えは早いほうだ。店内を覗くと3組くらい

よし、ここにするか。

重い扉を開けて、1人と指で示し

カウンターに着席。

お水を持ってきてくれた店員さんに

目に入った、メニュー表の"ガーリックベーコン"を頼みじっと店内装飾に目をやる。

装飾には無駄がない

生活感漂うラミネートした注意書きなどもないわたし好みの環境であった。

店内は、ガーリックの匂いが漂いはじめ"わたしは"心地がよかった。

お待たせいたしました。と良い声で目の前にお皿を置かれる。

ガーリックがとても大きいトマトソースパスタだった。

怯んでしまったが1口食べたらとても美味しかった。身体の禊というか、疲労感がどこかへ行ってしまったような感覚に陥った。

美味しいという言葉以上の表現があるなら教えてほしいと切に願った。

そこからは夢中で食事に没頭してしまった。

日頃から早食いなわたしは前の3組より早く平らげお勘定をしてそそくさと店を後にした。

 


研修で店員をやらされていた時に、新宿でタバコを吸いながらランチできる店があまりなく、パスタ屋さんでよく大盛りのボロネーゼとコーヒーで過ごしていたことをふと…

 

それ以来かもしれない、パスタ屋さんに足を運ぶだなんて、ましてやタバコも吸えないパスタ屋さんに行くなんて初めてかもしれない…

偶には違う選択肢を選ぶのもいいもんだ

年の瀬があと少しってところで昔のことを少し思い出して当時のあれこれを思い出すのは、ほんのちょっと恥ずかしくも思う。